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増田一眞さん (松戸市)

伝統絶やさず未来へ残したい

増田一眞さん(松戸市)

「棟の高さが風格を決めるんです」と一語一語噛みしめながら切々と語る増田さん

 和の伝統を見直そうという気運が高まっているが、松戸市下矢切に昨年11月、都内で建築事務所を営む増田一眞さん(68)が築百年以上の古い民家を移築修復させ、ギャラリー「結花」としてオープン。日本家屋の伝統工法を絶やさず発展させたいという増田さんは建物同様、力強さと柔和さが一体となった骨太の人物だった。

 

増田さんの奥様の趣味である古い焼物やアンティークの数々。

増田さんの奥様の趣味である古い焼物やアンティークの数々。

木のぬくもりの中で自慢のコーヒーも満喫できる。訪れるとどこか懐かしさを覚える癒しの空間になっている。

木のぬくもりの中で自慢のコーヒーも満喫できる。訪れるとどこか懐かしさを覚える癒しの空間になっている。

白壁が美しく風格漂う外観

白壁が美しく風格漂う外観

 閑静な住宅街に突如、漆喰白壁の見事な明治中期の土蔵が出現する。東京で建築事務所を営む増田一眞さんが昨年11月3日オープンしたギャラリー「結花」である。
 以前からギャラリーを併設した喫茶室を構えようと思っていた増田さんに4年前、埼玉県から土蔵を移築しないかと話が舞い込んだ。「直接確かめたい」と現場へ足を運んだ。一目みて心を打たれた。
 「見事なものでした。外壁は傷みがひどかったですが、手を加えればまだ100年は楽に使えるのに壊すなんてもったいない」
 感動のあまり、家族の反対を押し切り、私費を投じて移築計画を決めた。修復を東京の大工に頼むと皆尻込みしたが、知り合いを通じて岩手県の気仙の大工に、造作は長野県塩尻の大工に依頼した。
 解体、根つぎなどの修復作業は古材をなるべくいかそうと手間暇惜しまず、完成まで丸3年を費やした。
 「刻みの精度が1ミリの誤差もなく、細かい工夫が随所にあって、いい経験をさせてもらいました」と大工は口を揃えて先人の仕事を賞賛した。

 敗戦時を焼け野原の広島で迎えた。焼け跡にいつか人が喜ぶ建物を建てたいと思って建築の道へ。戦後、日本はコンクリートで埋め尽くされ、阪神大震災で横倒しになったコンクリート群を見て驚愕した。建築工法が専門の増田さんは現代建築の構造を痛烈に批判し、伝統工法の大切さを訴えた著書「建築工法の変革」は平成10年の技術・科学図書文化賞最優秀賞を受賞。職業柄、伝統工法を絶やさず発展させたいという思いが人一倍強い。
 「現代建築はゴミを出すばかりで、環境ホルモンなどで人が住めない建物も多い」と指摘する。木は自然素材なので土に還る。自然のサイクルに人間が順応しなくなったのが現代の歪みやストレスの原因ともいう。
 「むきだしの骨組みが意匠になっていて無駄がなく、武骨でいて人を包みこむ柔らかさがある。木は100年ぐらい経ってちょうど安定する。そこで手を入れてやればさらに100年使えるんです」と土蔵の出来栄えに満足の様子。
 パワーの源は? と尋ねると「普請道楽かな」と一言。「昔は移築が当たり前だった。組手、差し口など組ばらしが容易で一代で終わらないように物を大切にしたものです。人間の寿命が伸びたように建物の寿命ももっと高めないといけないね」
 1階は喫茶室、2階はギャラリーになっていて、落語などのイベントも行われる。奥さんの趣味である骨董品と見事に調和し、古いものたちが輝きを増している。

ギャラリー「結花」

松戸市下矢切89‐4 北総公団線「矢切」駅徒歩10分
10時半~18時半 月曜休み
TEL:047(361)2103

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