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仙田秀一さん(伝統的工芸品 ビーズ細工)

今日の無から明日に役立つ有を生む−私にとってビーズバッグがそれなのです。

手作りのビーズ入れから2粒ずつ拾い縫いつける仙田秀一さん。

手作りのビーズ入れから2粒ずつ拾い縫いつける仙田秀一さん。工程は、デッサン(紙にバッグの形とビーズ刺繍の雰囲気を描き、使う人をイメージしながら色づけする)→型紙(口金に合わせ型紙を起こし、トレーシングペーパーに写し図案を描く)→柄絵(選定し、ビーズの形や大きさを想定しながら書き込む)→ビーズ(2000種類の中から選ぶ)→刺繍(布を日本刺繍台に張り絵柄を写し、イギリス製の特別製細針で刺し、できたら全体を見て修正)→仕上げ(のり付けをし、口金や裏袋を縫いつけ持ち手を付け形を整える)

 ビーズ細工とはビーズや宝石を組み合わせ、それらを編んだり織ったり、綿レースや錦織物などに刺繍すること。日本では江戸時代にポルトガルから伝えられ、以来女性を魅了し続けてきました。全国でも珍しい日本刺繍の手法でビーズハンドバッグを製造販売している仙田秀一さんを柏の工房に訪ねました。

仙田 秀一さん

仙田 秀一さん
1937年生まれ。前年に父・鎮男さんが浅草でビーズハンドバッグ製造・販売店を創業。1949年に柏市に移転し「柏ビーズ」を開業する。16歳で職人となり、父の下で修行を重ね家業を引き継ぎ2代目に。1993年に千葉県の伝統的工芸品に指定され、自身も卓越技能賞を受賞。この道一筋に半世紀になる。
住所/柏市あけぼの1-1-5

 
 

工房に展示された数々の作品。

工房に展示された数々の作品。

工房に展示された数々の作品。柏ビーズの製品は全国のデパートなどで買うことができる
柏に伝わる技
  • ◆理美容ばさみ/石田竜夫さん・裕さん(石田製作所)
    故父、源太郎さんは手作りの理美容ばさみでは全国でも5本の指に入る名人といわれ、横綱千代の富士関の断髪式用のはさみを製作したことも。現在は息子二人が後をつぎ、伝承の技による手作業ではさみを加工している。
  • ◆琴/岩井俊明さん(工房・今村文彦)
    故今村文(やす)彦さんは江戸時代中期に生まれた山田流技法による琴作りの職人。生木から本体仕上げ、部品取り付け、装飾まで手作りで、現在、弟子の岩井さんが継いでいる。

代々使われるバッグ

 柏駅西口から徒歩5分、有限会社「柏ビーズ」を訪れた人がまず目にするのは正面に飾られた二代目、仙田秀一さんの作品。ハンドバッグからがま口、めがねケース、草履などの小物まであり、一粒2ミリ前後のガラスビーズという“絵の具”で描かれた模様が繊細で美しい光を放っている。
 作品はデザインから型紙おこし、刺繍、縫製、仕上げまで全て手作り。販売までを一貫して行っており、全国ではここだけとのこと。
 「普遍的で堅固、思い出となるバッグ作りを信条としています」と話す仙田さん。その伝統の技といわれるゆえんは独特の刺繍法にある。ビーズを縫いつけるときも、糸に通した長いビーズを留めるときも、二粒ずつが鉄則。日本刺繍の手法を取り入れたもので、堅固に仕上がり、愛用している間にたとえ糸が切れてもバラバラにならず修理もしやすい。
 ビーズバッグは、成人式や結婚などの記念の贈り物として購入されることが多く、その思い出が母親から娘へ、そのまた娘へと受け継がれていく。実際、祖母が祖父からプレゼントされたバッグなので直して欲しいと依頼されたエピソードもあり、修理にも応じている。
 「50年、60年と使われたバッグに再び出会えるのはうれしいですね。人生の節目を彩るもの作りであることが、信条と重なっていたと今にして思います」

2千種類ものビーズ

 仙田さんが職人として一歩を踏み出したのは16歳の時。ビーズバッグ製造販売の創業者であり父である鎮男(まさお)さんから技術を修得した。
 刺繍の基本はビーズとビーズがふれあう程度に縫いつけること。ビーズの種類は色、形、大きさなど様々。2000種類以上もあり、絵柄に合わせて微妙に異なる形や色を組み合わせる。密集しすぎると表面がでこぼこし、緩すぎると隙間ができる。この微妙な隙間加減が難しく、模様が遠くから見て立体的になるポイント。
 「親父は耳に障害があり、後に目も見えなくなったので、指先で触れては、ここが出っ張っている、ここがゆがんでいると、89歳で亡くなるまで指導してくれたものです」
 「物作りは今日の無を明日の有にすることです。そのために努力する。私にとってビーズバッグがそれなのです」
 「伝承なくしては伝統的工芸品をお預かりした意味がないと思っているので技術を次の世代に伝えていきたい」。現在、息子の和雅さんが3代目として伝統の技を生かし、インテリアやカルチャーなど新しい分野に挑戦。「職人気質とは自分の技術で今の世の中に適応して役立つものを生み出すことだ」と話す仙田さん。3代目との二人三脚に意欲を燃やしている。