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火加減重視のだしが澄み 冬こそ旨い板前の湯豆腐

豆腐職人として、板前として、見えたもの

釜飯は専用ガステーブルで炊く

 都市ガスの炎と向き合い、良さを生かして心を込めた逸品を生み出すプロがいます。その技術や知識と道具に着目するシリーズ。本八幡駅近くの日本料理店は、豆腐店が営み、美味しくてヘルシーと評判です。店主自ら豆腐を仕込み、板前の技を加えて提供しています。

 

刺身を盛り付ける中川さん

刺身を盛り付ける中川さん。扱う魚介は鮮度を重視し、多くを店内でさばく。取材時はマグロやサバが並んでいた

きびきびと動く中川さんだが、豆腐に触れる時は優しく、スローモーションのよう。

良質な井戸水は一年を通して水温17度前後で、寒い日でも職人の手を守る。きびきびと動く中川さんだが、豆腐に触れる時は優しく、スローモーションのよう。持ち帰りは木綿・絹ごしともに1丁210円(記事内は税込み)で、大豆を加熱するのはガスボイラの蒸気だ

ガスの炎を巧みに調節し、井戸水を使い、だしをひく。

ガスの炎を巧みに調節し、井戸水を使い、だしをひく。澄み切ってかつお節が見える

「旬のお刺身盛り合わせ・華」「伊達鶏の釜めし」「京風湯豆富」

左手前から時計回りに「旬のお刺身盛り合わせ・華」(1人前1,880円)、「伊達鶏の釜めし」、それに四角い桶で登場する「京風湯豆富」(600円)。急須に入っただしじょうゆも温かく、薬味にとろろ昆布やゆずこしょうなどが添えられる

店主 中川省一さん

なか川 東風庵(とうふうあん) 店主 中川 省一さん/昭和10年創業の「中川屋豆腐店」に生まれ、調理師学校を卒業後、都内の麹町などで日本料理を学ぶ。やがて実家の豆腐が持つ魅力に気付き、豆腐主体の料理店を開くことに。店名の「東風」とは書道に親しんだ祖父の雅号。

大豆、水、藻塩 素朴にして深淵

  豆腐は、文人をも魅了する。好物であるがゆえに「腐」の字を嫌い「豆府」とした泉鏡花、職人に師事して自宅でも作っていたという北大路魯山人、村上春樹は、日に2丁は口にするとエッセイに書き、専門店で買い、その日のうちに食べきるよう勧めている。
 そんな玄人好みの味を求め、老舗豆腐店の3代目・中川省一さんが営む日本料理店「なか川 東風庵」へ。ここでは創業時から江戸時代の製法を守り、原料の大豆は国産の「フクユタカ」のみ。中でも希少な佐賀県産を使い、地下100mからくみ上げる井戸水に浸し、砕いて、蒸して、豆乳を搾ることから作業を始める。
 「豆は水分含有量を調整し、旨味を凝縮させて仕入れます。高タンパクだから口当たりが滑らかで、甘みも強い。何より当店は、水に恵まれていることも自慢です」と中川さん。鉄分を除いた井戸水はまろやかで、豆腐が清らかに潤い、料理や炊飯、お茶にも用いる。また、寄せ豆腐には天然藻塩のにがりを、木綿豆腐には、風味を丸くするため2カ月寝かせたものを使う。〝昔ながら〞は実に手間が掛かるのだ。

琥珀色のだしが味に品格を生む

 同店で最も冬が似合う料理は「京風湯豆富」だろう。ひのきの桶で風流に供され、かじかむ手も湯気にほぐれる。
 熱々を網ですくい、だしを加えたしょうゆを垂らし、はふはふ、と繰り返す。豆腐はふわりとしてきめ細かく崩れ、食道を温めながら通るのが分かる。胃もぽかぽかとして食欲が増し、鼻の奥では大豆、昆布、かつお節の匂いが混じる――寒い日こそ、旨いのだ。
 「昆布とかつお節はだしの基本です。煮ることで旨味成分を抽出しますが、火力を強めるだけでは香り高く仕上がりません。透明感を出すにも、沸騰寸前を保つことが肝心。だから、火加減を調節しやすいガスコンロは重宝します」
 さらに厨房には10口の釜飯用ガステーブルもあり、マイコンが火力を決め、約10分で美味しく炊き上げる。昔は4口だったが、それでもタイマーの設定に苦労したとか。今はボタン一つで安心して手が離せる、とはいえ、仕上げはやはり中川さん。釜をコンロに移し、弱火でだしを残さず米に吸わせ、じっくり蒸らして最後は強火。ここで釜底に香ばしい〝おこげ〞ができる。
 「生まれてから食卓には毎日豆腐があり、それが当たり前でした。でも、日本料理の修業先でよその豆腐を知るうち、実家の素晴らしさに気付いたのです。だから今、自ら豆腐を作り、料理として完成させられることが楽しい」
 江戸時代に書かれた本『豆腐百珍』は、当時無数の豆腐料理が存在したと伝える。消えた味を現代的に解釈して取り戻すのは、中川さんだろう。

だしも、湯豆腐も、美味しく仕上げるコツは沸騰させないこと
「京風湯豆富」は固形燃料で沸騰手前の湯温が保たれ、常に熱々でいただける。「豆腐はぐらぐらゆでると固くなり、内側に隙間ができるので、家庭でも注意を」と中川さん。ちなみにだしの基本は「水のまま昆布を入れ、湯が70度程度になったら取り出し、かつお節を入れます。沈んだところで火を止めて完成」とのこと。丁寧にあくを取るのも忘れずに。

なか川 東風庵(予約がお勧め)

おからの旨煮、生湯葉の刺身、豆富二色田楽などが味わえる「ヘルシーランチ」は1,200円。「釜めしランチ」は1,350円で、それぞれ冷ややっこ、サラダ、香の物、みそ汁、飲み物が付く。席に着くと、調理中の中川さんと目線の高さが等しくなるカウンターの他、テーブル席や、小上がりの座敷(掘りごたつ)もあり、用途で選べるのもうれしい。

TEL/047-322-3130
住所/市川市八幡3-7-18(JR「本八幡駅」西側出口から徒歩1分)パーキングあり
時間/昼11:30~14:30(L.O.14:00)、夜17:00~23:00(L.O.22:00)
※月曜定休

 

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